RUM(ラム)の人物像整理

インターネット上だけでなくファンの間でも盛り上がってきているラム候補3人の正体推理。大きな結論がまとまりつつあるが、あらためてラム編について整理してみる。

ボスの側近

赤井(沖矢)「RUM…奴らのコードネームだ。組織にいたころ2、3度名前は耳にしたが、どうやらボスの側近らしい」

「とにかくジェイムズに伝えてくれ…ジン以上の大物が動くとな!」

85巻ファイル5

灰原「あなたが言う黒ずくめの組織のNo.2のコードネームがラムだってことは知ってるわよ」

コナン「な、No.2?」

灰原「少なくとも私がいた頃はそうだって聞いたわ…会った事はないけどね…」

コナン「そ、それ、どんな奴だ!?男か?女か?」

灰原「だから会ったことないって言ってるでしょ?組織にいた頃噂で耳にした人物像は十人十色…屈強な大男だとか、女のような男だとか、年老いた老人とか…それらが全部影武者だっていう人もいたわ」

86巻ファイル2

ラムは蒸留酒。メタ設定なのか、組織の中できちんとルール化されているという本編設定なのか、現時点ではわからないけど、組織では男には蒸留酒の、女にはカクテルや果実酒の名前が与えられる。

この設定はいまのところメタ伏線としてしか機能していないので、ここでのミスリードは原則ご法度。ラムが変装している可能性を考えたらきりがないけど、この時点でラムの素顔は男だと断定できる。

灰原のラムに関する人物像。主人公ではなく、推理力が高いキャラとしては設定されていない灰原の口から出る話であり、主人公より最初に言及する話なので、「それらが全部影武者」というところはハズレである可能性が高く、それ以外に見聞きした人物像については、以降出てくるラム候補者それぞれの人物像の示唆のための描写以上としては感じられないのが正直なところ。いまのところ、二重、三重の伏線としては機能していなさそうだ。

この時点で、若狭先生をラム候補から外すのはコナンにどっぷりな人にとっては定跡中の定跡。

もちろん、若狭先生が変装で…と、すぐに考えるかもしれないが、コナンの世界には変装にしっかりルールがある。今後の考察で「変装しているかもしれないじゃないか!!」となる点が出てくるかもしれないので、先にこちらを補足する。

変装だとしたらベルモットが必要

コナン世界で変装できるのは、変装術の生みの親・黒羽盗一と、その息子快斗(現怪盗キッド)、そして黒羽盗一から変装術の指導を受けたベルモットと工藤有希子の4人に限られる。

なお、有希子以外は変声機なしで声色を自在に変えられるというコナン世界での特殊能力「声帯模写」を会得している。また、赤井のように頻繁に沖矢に変装する場合、沖矢への変装だけなら自力で繰り返し行えるようだ。

組織編に主体的に関わるのは有希子とベルモットのみ。うちコナンサイドにいる有希子がラムの変装に協力しているというのはあり得ないので、ベルモットなしでは組織側の変装はできないと言っていい。

ベルモットは、このラム編で関与の度合いがすこし下がる。無論、赤井務武に変装しロンドンをうろついてメアリーをおびき出す、という方の話では表舞台に出てきてるけど、バーボン編のようにバーボン候補者3人に呼びかけたりというようなことはない。バーボン編で安室の要望に答えて変装に協力していたところとは実は対照的。

今後、変装と思われる描写があれば考える余地があるかもしれないが、そもそもラム編では左右どちらかの眼が義眼というのが大きなポイントなので、目は素の姿でないとお話が成り立たない気が。変装を重ねる手間は少ないのかなあと思う。

若狭先生に男が変装するのは難しそう

若狭先生は格闘術にこそ長けているけど、体型自体は小林先生とほぼ同じで、一般的な日本人女性という感じ。いくらベルモットの変装術でも、ある程度の体格であると想定されるラムが若狭先生に化けるのはかなり無理がある。無論、ラムがチビだというのならそれでもいいけど笑

他のラム候補者、脇田と黒田については正直変装に関する描写がないのでわからない。ただ、体格については脇田は板前の白い甚平みたいなやつしか着ていないことも多い。すくなくとも体格は素の姿だろう。

黒田はいうまでもないし、脇田は前歯を外せば一応組織の人間でも通りそうだ。

ラム編は、ベルモット編やバーボン編と違って変装してまるっきり別人になっているというような人はいないのではないかと思っている。逆に候補者全員がラムの特徴である左右どちらかの目が義眼という可能性があるので、この謎解きに重ねて変装というのはちょっとくどい

左右どちらかの眼が義眼

灰原「そういえばみんな口を揃えて言ってたわ…奴には片方がないって」

コナン「奴?」

灰原「ラムよ…何らかの事故で目を負傷して…左右どちらかの眼球が義眼らしいわよ…」

86巻ファイル4

問題のラムの条件である「義眼」。これまでのコナンのお話でも、こうした形式で読者に推理を促すのは初めて。身体的特徴を先に決めて、怪しい人物を日常編と絡めて登場させてくる形式ってたぶん書いてる側からするとちょっと楽だろう。候補者それぞれが不気味すぎて、だれを候補者にするのかもつかみにくかったベルモット編からすると、だいぶ楽である。

新一に関心あり

工藤新一の情報を要求する

Time is money!

急げよバーボン

―RUM―

95巻ファイル5

主体的に新一に関心を示す組織のメンバーって、劇場版を除くと実はラムが初めて。修学旅行編で新一の目撃情報が話題になったのを一両日中に察知して、部下に探らせているのだから、ラムには「工藤新一は組織が殺した」という認識があることがわかる。殺したはずの新一の生存情報が流れていることから、その真偽を確かめるのは、組織のNo.2としてはとても自然だ。

ラムはどうして工藤新一を殺したという認識があるのか。

例えば殺したやつを忘れることにしているジンは、工藤新一について今までほとんど疑ったことがない。二元ミステリーでは、ウオッカでさえ新一に扮した服部をみて「殺したはず」とうろたえていた。にも関わらず自身は心当たりすらないようで「工藤新一ってガキ、知ってるか?」とベルモットに聞くくらい。

それに比べると、ラムは工藤新一が死んでいるということをきちんと認識していると考えられる。工藤新一にAPTX4869を投与して殺したことを認識していなければ、そもそも高校生探偵の行方など、組織がいちいち気にしない。

そう考えると、ラムは工藤新一がAPTX4869を投与されて死んだということ、あるいは投与されたが実は生きていることが露見するのはまずいと考えていると考えられる。

考察を進めていくにあたり、ラムがAPTXをどんな効能の薬として認識していのかによって場合分けが必要になるのが本来的なところだが、そこに進むとちょっと複雑化しすぎる気がするので、ちょっとここでは控えたい。

少なくとも、自身が関わっているAPTX4869に関して情報が漏れたり、効能に関して不確実な点があったりする恐れもあるなど、速やかに対処する必要のある案件と認識しているのは間違いないのだろう。

2通目のメールの謎

工藤新一の情報

急げ!

Time is money!

―RUM―

95巻ファイル8

このメールの謎がすっきり解決できない。すでにラムは一度情報を求めており、それに重ねて催促するのだから、後述するせっかちという人物像にはぴったりだ。ただ、他の方も言われているように、安室の目の書き分けが矛盾してしまう。

このメールを読んでいるときの安室の目は、通常時の目。ラムとのやりとりではないとなってしまう。

安室の目はラム登場以降、最初からしっかり書き分けられているので、ベルモット編での新出先生の眼鏡のツルのような書き分けミスがあるとは考えにくい。やはり書き分けを第一に優先すべき材料と考えたほうがいいのかな。

と考えると、ラム編において安室が平常時の目でこのようなメールを受信するのは公安の上司以外にいない。その人物を現状、黒田と想定すると、彼のメールにラムと書いてあるのはおかしい。

このメールは送信者と受信者しか見る機会がなく、安室を騙すというような物語そのもののミスリードには使えない。物語そのものだけで意味が成立しない描写は、読者向けミスリードには使えない。コナン作品としてはまずやらない雑な描写だし、推理ものの作品としてもルール違反のように思える

そう考えると、このラムメールは

・本物のラムから届いたが、なんらかの事情で安室の目は通常モードでなければならなかった

・組織の人間ではない何者かがラムを装って送り、それを安室もわかっているので通常モードの目になっている

・2通ともラムからのメール、つまりラムは2人いて、1人は1通目の送り主と同じ組織の人間だが、2通目は組織に属していないものの、ラムと名乗っている人

というような可能性が考えられる。

安室の目の書き分けは読者向けの設定だが、一応は安室の中でメールに対する心情に違いがあり、それが目に現れる、という建前のはず。

けっきょく、このメールだけではラムが複数人なのかそうでないのか分からないな。

せっかち

コナン「RUMって知ってるよね?」

安室「一体君はどこからそんな情報を」

コナン「会ったことあるの?」

安室「どう答えたらいいか…悩むよ…」「会った事があると答えれば君は僕が関わっている人たちに探りを入れ始めるだろうし、会った事ないといえば君や僕に近づく人たちを必要以上に警戒するだろ?」

コナン「そだね…」

安室「どのみち、僕にメリットはないけど…ヒントとして君に言えるとしたら…その人物はとてもせっかち―ってことくらいかな」

コナン「(せっかち…)」

97巻ファイル4

ここではまず文字通りでの意味で考える。色んな人が頭を使っているTime is moneyとラム候補の一人、脇田兼則(わきなかねのり)はアナグラムなのか?など、せっかちの読み解きについてはまた別稿で。

【せっかち】  [名・形動]《「急 (せ) き勝ち」の音変化か》忍耐強くなく先を急いで気ぜわしいこと。また、そのさま。気みじか。性急。「せっかちな人」「せっかちな性分」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

せっかちというのは、安室からコナンに向けたヒントであると同時に、作者から読者へのヒントでもある。だから作中でも「せっかち」そのものの意味でもヒントになっていないといけないし、メタ伏線やアナグラムとしても機能していなければならないだろう。

まずはせっかちという言葉について。ラム「が」せっかちな「性格」という前提で考えていけば、当然あの3人から考える。

「せっかち」なら黒田と若狭はラムじゃない

黒田と若狭は、コナンについてただの小学生ではないという認識を既に持った状態で登場する。若狭先生に至っては、コナンが幼児化していることにあたりをつけたうけで帝丹小学校に赴任してきた。となると「せっかち」ならばとっくにコナンに対してアクションを起こしているべき。

 91巻の初登場で、若狭先生はコナンをじっと見つめるなど、あきらかに観察している描写が。

同様に黒田にもそうだろう。

黒田「意外な着眼点で事件解決の糸口を見つけ推理をバックアップする…眠りの小五郎の知恵袋…警察庁ではそう噂されていたよ…江戸川コナン君…」

コナン「へ、へぇ…そうなんだ…」

87巻ファイル1 

コナンの正体までは認識していないようだが、コナンが小五郎の知恵袋であることは認識している。

若狭「まさか気になる人物を観察するために…業火に包まれる隣のテントを野放しにしたなんて事ありませんよね?」

黒田「不覚にも寝入ってしまって…小学校の先生がついているのなら大事は起きないと高を括っていた面もありますが…」

93巻ファイル7

 かつ、若狭先生を観察するためにじっと隣のテントに身を潜めていた。その前のコマでコナンらを観察する様子があるので、少なくとも「寝入ってしまった」というのはウソ。「せっかち」というラムなら、じっとターゲットを観察する張り込みのようなやり方をするよりは、すぐになんらかの手を打つのが自然。

この2人に関しては、これまでせっかちとは正反対といってもいい描写ばかりある。せっかちという意味を素直に受け取ったとき、この二人はラムではないと断定しても差し支えないのではないだろうか。 

ーここまで2020年6月記すー